日本には「春夏秋冬」があります。それぞれ表情が違い、人に伝わるものも 違ってきます。それを明確に表現してくれるのが「自然」です。桜を見れば春、 紅葉を見れば秋など日本人のほとんどが無意識に「春夏秋冬」を感じてます。日本は古来から他国の唯一神と異なり、「自然」のすべてを神として崇拝する中で、時の流れと季節の移り変わり、そして「美」意識を感じてきました。 　そんな環境で生まれてきたすべての日本文化には、常に分母に「自然」＝「四季」が存在してきました。枯れ果てていくススキなどを見て、冬の訪れや華やかさとは正反対の「美」を感じていくのは日本人独特の「美」意識だと思います。

　今現在の「日本の花」の世界を見つめ直すと、輸入花や温室育ちの花の流出で、「四季」に関わらずいつでも手に入るようになり、他国でもフラワーアレンジメントとして「花」を楽しむ習慣があるため、「日本の花」と「フラワーアレンジメント」の違いが分からない人も多いのではないでしょうか。 　また他国には無い茶の世界や歌舞伎などの日本文化と違い独自性が薄くなっていくと共に、本来日本人が心に持つ「美」が遠ざかり、時が経つにつれて次世代に伝わらなくなっているのも事実です。今一度、原点を見つめ直し、分母には「自然」＝「四季」を持ち日本独自の「美」意識をしっかりと理解して、現代、そして次世代の「日本の花」を追求していこうと考えております。

　ただ単に古くから伝わるものをそのまま受け継いでいくのではなく、日本文化・芸術すべてが古くから伝わる形式や想いを大事に保つところは保ち、現代に合った形に進化することで「日本の美」の精神性がより明確になり、限られた人だけでなく、より多くの人に伝わりやすくなるのではないでしょうか。 そして次世代へ。今後「花」を通じて多くの人に「日本の美」を感じてもらい、文化や芸術だけでなく、さまざまな分野で活かしてもらえるように邁進していきます。と思う今日この頃です。